1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

ランタンの実力
 アウトドアでも近年はガソリンや灯油を用いた加圧型ランタンに変わり、LEDなどの光源を用いた灯火が使用されるようになったが、その理由は、安全性とメンテナンス性にあるように思われる。これらの燃料は一歩間違えば爆発や火災の危険があるし、動作中には灯体の温度は火傷を受けるのに十分で、なおかつ定期的な部品交換をしなければ性能維持ができない。また一部には放射性物質を含むものもある。(マントルに添加されている発光剤などに)



写真解説
 ガソリンランタンといえばコールマンと言えるくらいコールマン社の製品は有名で私も主要機種は一通り所有はしている。コ社の製品はわが国でも入手は容易で、珍しくはないが、実際に指定燃料を使う限り非常に実用性やバランスは良い。

写真は旧東ドイツ製ペトロマックス社の500CPと150CPだが、米国BritetLyt社経由で入手したものだ。BriteLyt社扱いの製品は、特注なのかライセンス生産なのか、機能は問題ないが、タンクの装飾や細かい仕様が異なるようだ。写真はいくつかの点で私が改造を加えたものです。

これらの灯油を主燃料とした製品ではラピッドスタータなる霧吹き式のプレヒーターが付いているが、起動するのに結構ポンピングをしなければならないが、改造により自動車タイヤ用のエアバルブが装備してあり、外部のポンプで加圧できるようにしてある。自転車用のポンプなら4~5回のポンピングで使用可能となる。

 コールマンの使いやすさは、燃料気化管とノズルをカシメにより一体化したことで、それ以外のメーカーの製品の多くは、燃料気化管とノズルがねじ込み式なのだが、使用するうちにこの部分が次第に緩んでくる。緩むとメインのジェット以外にネジ部分からも気化した燃料が吐出し、空気燃料比が空気不足になり、正常燃焼できなくなる。かといって強すぎる締め込みは破損の原因になるし。

また、この部分を締め付けるには、上部構造物(トップカバー、混合管、マントルなど)を分解しなければならず、このあたりがマントルの無駄遣いと運用の面倒くささになっている。そこで、メインジェットの部分のトップカバーを切り取り、ステンレスメッシュでカバーし、ノズルの緩みにより空気燃料比が変化した際には、このメッシュカバーを外し、運用しながら増し締めできるようになっている。この改造で、とても快適に使用できるようになった(増し締めは慎重に、漏れが止まる最低限に!)。
 
 コールマン社の一連の製品では、カシメにより一体化しているので、熱サイクルでも緩むことはなく、そのかわり燃料残渣物や析出したカーボンを排出することも困難で、気化管とノズルのアセンブリーを交換することになる。

 ちなみに500CPのコピー製品は、実に多くの国で生産されているようで、私が所有しているだけで、上海・アンカー社製、インド・バタフライ社製がある。中国にはアンカー社以外でも何社か製造しているようだが、これらもそれなりの実用性がある。150CPはマントルにアイソトープレスの、コールマン21Aが使用できる。

******これらの改造はランタンの安全上重要な加圧部分に関わる、危険を伴う改造なので、加工技術などに十分な自信のある方以外は、絶対に行わないように願います。また自己責任とし、宇都宮泰は免責されるものとします*******

 しかしこれらのランタンの出力は強力で、タングステン電球相当で、数十Wから400W相当(熱量では1KWにもなる)の出力が安定に得られる。また燃料の備蓄性も、適切に行えば比較的良好で、ランニングコストも低い。(ホワイトガソリンは安定な合成品なので、開封しなければ長期保存が可能、灯油についてはローテーション使用し、密栓状態では1年以上の備蓄が可能。)しかし安全で安定な運転には、十分な知識と訓練が必要だ。

 ランタンも奥が深く、上記のような常温で液体の燃料を用いるものと、ガスボンベに加圧格納した液化ガスを用いるものがある。国内の市場ではレジャー用途のものが主流だが、世界は広く、レジャーではなく実生活現役で使用されているものもあり、デザインは不細工だが驚異的な性能であるにもかかわらず、あまり知られていないモデルもあったりする。使ってみなければわからないし、本当に世界は広い。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11