3)ライフ
私は医師ではないので、記述にいささかの誤りがあるかもしれないが、その場合はご指摘下さい。適宜改訂します。
○体温維持
後述の食事や水分の補給も十分に重要だが、さしあたり優先して確保しなければ即座に危険な状態に陥ってしまうのが、体温の維持だ。夏場には体温が上がりすぎることで様々な問題が生じるが、総じて熱中症と呼ばれるようである。
日中は効果的に直射日光の影響を避けることが重要で、帽子や適切な衣類の着用は最も効果がある。意外と危険なのは普通のビーチパラソルやテントの中で、日差しは避けられても蒸し焼き状態になり、ダメージも大きい。
ビーチパラソルでも銀色ウレタン塗装されている(もちろん表が)製品があり、効果的に温度を下げることができるので、どうせならそのような効果の高い製品を選びたいものだ。
通常の傘のサイズなら、ゴルフ用品として売られていることが多いので、ゴルフに縁のない方も一度見に行ってみるのも一興だ。(釣具店も忘れずに)
日よけとしてタープやブルーシートを用いる場合も同様で、こちらはブルーシートと同様のラミネート素材で、片面アルミ蒸着、もう片面が黒色という製品が販売されているが、この素材では蒸し焼きは避けられる。タープの場合は銀色ウレタン塗装の生地が効果的なようだ。
昼夜を問わず一定の効果が期待できるのが「霧吹き」の使用で、もともと汗でじょぼじょぼなのに、さらに霧吹きなど効果なさそうに思えるが、汗には電解質が多量に含まれ、水分の気化を阻害するが、霧吹きによるミストで皮膚を湿らせると、電解質が希釈され、気化が促進→体に備わった冷却機構が活性化で、上がりすぎた体温を下げることができる。場合によっては冷たい飲み物を飲むよりも効果が高い場合もあるし、薄い生地でできた長袖長ズボンの方が冷却がスムーズなこともよくある。
そのための製品も販売されているが、空きペットボトルに取り付けて使用する製品が、安価で使いやすいが、ミストは細かいほど効果的なので、優秀なノズルを備えた一品を探してみるのもよいだろう。
夏場でも集中豪雨などで急激に体温を奪われると、低体温状態になる場合がある。レインコートなどの装備も悪くはないが、ずぶぬれになってもそれなりに体温保持できるのが、裏にメッシュ生地のあるウィンドブレーカーだが、これなら装備が増えずに効果が期待できる。サランラップ(TM)を巻くというのも効果があるらしい。
古くからよく知られている対処に、新聞紙を入れるという方法もあるが、そんなときに新聞紙は無いだろう。あるなら効果はある。レスキューシートと呼ばれるアルミ蒸着を施したフィルムがあるが、これも効果は大きく、必ず装備したい。ただし、レスキューシートは一度広げると、元の大きさには畳めないので注意。また最近は100円均一店でも販売されているが、効果はほとんど変わらない。高い物を1つよりは100円のを2つだろう。
アルミ蒸着シートや銀色塗装生地を、屋根状にセットしたり平面に広げた状態でセットする場合、凹面鏡状になってしまうことがあるが、焦点ができないように工夫しないと、樹木の枝が発火することもあるので(とくに雨水が少し溜まった状態など)配慮する。
冬場の体温維持は専門書に譲る
○日焼け問題
かつては黒く日焼けしていることは、健康の象徴のように扱われたものだが、過剰な日焼けは(とくに急激な)ダメージ以外の何物でもない。火傷よりもたちが悪い。できるだけ直射日光にさらされないようにするくらいで丁度良い。紫外線に限らず、短波長の高エネルギーの光に皮膚をさらすことはリスクであり、その衝撃が急激な場合、数時間後に発熱、意識障害などを引き起こす可能性すらある。
そうなってしまってからの処方は医師にゆだねられることになるが、予防として日焼け止めクリームなどの使用や、帽子や長袖長ズボンの着用は効果が高い。如何に薄い素材であろうとそれなりの効果が期待できる。とくに災害遭遇時や、フィールドワーク時には注意しよう。
○水分の摂取
1日の水分摂取量は、等価で2リッター程度は見込む必要がある。災害遭遇時にはその量の確保も困難になるが、目安として把握しておこう。確保や貯蔵については5)で触れるが、水分の不足による脱水症状は、前記の体温維持と同等な危険度の高いリスクなので、十分に気をつけるべきだ。食料の摂取よりも重要であることを認識しよう。
熱中症に陥ると水分を摂取したくなくなることもあるそうだが、我々の肉体は水と電解質を基調とした化学プラントであることを思い出し、熱中症気味の場合はその欲求が生じなくても適切に摂取を行おう。ただしリスクのある出所の水分(湧き水、海水、たまり水などの)場合は、安全性を考慮し安全化処理されていない場合には口にすべきではない。
※本ページをご覧になった医師の方から、以下のアドバイスを頂きましたので、追記します。
・野外で作業する場合、作業前に200mlの水を飲むこと。ミスト装置等がなければ、直接体に水をふりかけるのでもよい。
(この方法は、カンボジア難民キャンプで医師が行っていた)
・日焼け対策は、砂漠地の住民のように、首の後ろを布などで覆うと効果がある。