4)お泊りグループ
○宿泊施設の利用の場合
宿泊施設や民家などにお泊りする場合でも、安全が保障されているわけではない。宿泊中に火災や台風、地震などのイベントに遭遇することも想定すべきだ。
とくにこれらはどういうわけか夜間に起こり、停電を伴うことが多い。よく言う「避難路の確保」は必須で、それに加え懐中電灯の装備も必携だ。荷物もある程度パッキングされた状態を維持し、持ち出しランクも決めておく。
もちろん懐中電灯は、手探りで見つけられるところに置く必要がある。近年はあまり遭遇しなくなったが、以前はどう考えても食せないであろうものでもてなされる場合があったが、そのような場合は躊躇無く遠慮しよう。
食の冒険ならいざ知らず、大抵は何らかの目的でそこにいるのだから、そのもてなしが実害があろうが無かろうが目的を阻害する可能性は排除すべきだ。
○テント泊の場合
テント泊未経験の者は経験者の指導を受けるか、十分なリハーサル(リハーサル泊3日以上)してから望むべき。必携なその他の備品(金額的には小額だが、現地では調達できないものが多い)、小物が結構あり、それらが無いと快適さが大きく損なわれるからだ。
テントには各種のサイズや構造があるが、機動性が高く対候性が良好なのは、比較的小型のドーム型ということになっている。大きくなるに従い居住性は良くなるが、設営に手間取ったり重量が増加したりで、2名または3名の場合で、床面が2mX2mを一つの目処としよう。このサイズで4名は無理。
床材はラミネート材よりもポリエステルの方が快適だが、材質は箱に書かれているので、チェックしよう。
玄関の設置
テント泊やアウトドアライフの書籍にもあまり記述がないが、入り口外側に人工芝(40cm四方、巻き取れるタイプ)を置き、その外で靴を脱ぎ、人工芝を経て入室するようにするだけで、泥や砂などの侵入を阻止できる。大したことではなさそうに思えるが、日本人的にはこの工夫は大変フィットする。
付属品には含まれない必須備品
しっかりとした設営には、テントに附属する紐類だけでは不足することが多く、それを補うためには、「PP紐」(三つ撚りで、ボール状にパッケージされている引越しなどの荷造りなどに使用する)を用意しておくと何かと便利だ。
テントはペグという杭(くい)で地面に固定するが、設営場所によっては(アスファルト面や硬くてペグが打ち込めない地面、砂浜など)ペグは役に立たず、そのような場合には、立ち木を利用したり、砂浜などでは「土嚢」(ホームセンターなどでは土嚢袋を販売している)が効果的だが、これらとテントの接続には、附属の紐では不足する。
PP紐はときに人命救助に活躍するし、土嚢袋はごみや不要物の入れ物などにも流用できる。
寝具
テント泊といえば寝袋と相場は決まっているが、夏場では暑すぎて使用できないことが多い。人形型(マミータイプとも)ではなく、封筒型で、ファスナー全開でシートになるものが使用しやすい。またかけ布団側よりも敷き布団側の配慮をすべき。薄型のエアマットが使いやすい。夏の低地では羽毛など不要だ。
冬場はどれくらいの保温性の寝袋が必要かは、人によって様々で、リハーサルをして決定した方が良いかも・・。
防虫
近年火気を用いない持続型の防虫剤(トランスフルトリン剤)が販売されているが、大変効果的だ。蚊取り線香はテント外では良いが、テント内の使用はお勧めできない。
灯り
灯りは必須で、無いと致命的。最近はLEDを採用したランタンが販売されているが、全く実用的ではない。吊り下げると直下に大きな影ができるし、床置きにするとごく近距離にしか光りが届かない。
LED懐中電灯の多くは、想定焦点距離が遠すぎ、スポットライト状態で、地図や書類の確認も難しい。「LEDライト考」で示した「散光アダプター」などを作っておけば、このような用途に合致する照明が得られる。使い慣れたものを2灯は用意すべきだ。
テント泊ではテント内には絶対に火気を持ち込むべきではない。ポリエステルまたはナイロン製のテント生地は、一定温度以上で瞬時に大穴が開いてしまうし、それだけでは済まないことが多いからだ。
ガス、ガソリン、灯油などを使用するランタンはテントサイトの友ではあるが、十分に安全なレイアウトにしなければならない。「LEDライト考」を参照